ballad of a thin man

あんたは(新聞記者みたいに)鉛筆を手にして部屋に入ってきた
裸になっている男を見て言う「あの男は誰だ?」
ここで起きていることをなんとか理解しようとするが理解できない
家に帰ってから、ここでの出来事をどう伝えたらいいかもわからない


顔を上げて尋ねる「それがある場所はここか?」
誰かがあんたを指さして言う「それは彼のもの」
「俺のものって何だ?」
別の誰かが言う「何ってどこにある?」
「俺はここではずっと一人なのか?」


あんたはチケットを持って奇人ショーを見に行く
あんたが喋っているのを聞くや奇人は近づき言う
「こんな変態になる気はあるかい?」
あんたは言う「ありえない」
すると奇人はあんたに骨を手渡す


あんたは森林伐採屋に何度も取材してきた
憶測で書いた記事が誰かに非難されても
事実を聞き出すことができるわけだが
誰もあんたを尊敬してない
彼らがあんたに期待しているのは
税金対策のため慈善団体に推薦してくれることだけ


あんたは教授たちとも付きあいがあって
彼らはあんたの身なりを気に入っている
お偉い弁護士たちとも付きあいがあって
癩病患者やペテン師について議論したりもする
フィッツジェラルド全集を読破したほどの
読書家だってことも知られている


さて今度はナイフを飲み込む男が近づいてきて
あんたの前に跪き、胸に十字を切る
そしてハイヒールを鳴らし
挨拶はこれまでとばかりに
気分はどうだいと尋ねる
「あんたの喉ちんこだよ」


この片目の小人が叫ぶ「さあ!」
あんたは言う「何のつもりだ?」
小人は言う「はて?」
あんたは言う「どういう意味だ?」
小人は悲鳴をあげて言う「あんたは牛なんだろ。
ミルクをくれないんだったら、
とっとと家に帰りな」


駱駝みたいに部屋に入り
しかめっ面のあんたは
眼玉をポケットの中にしまい
鼻を床の上に置く
そんなあんたがこのあたりをうろつかないように
取り締まる法律があるべきだ
いっそ耳も取り外しできればよかったのに


ここで何かが起きてるわけだが
それが何なのか、あんたはわからない
あんたはどうだい、ジョーンズさんよ