工学部離れって言われても

工学部の人気がないのって、いまに始まった話じゃないでしょうに。
学歴上は一応工学部卒ではあるのだが、高校のときから、たとえば将来メーカーに就職しようなんて気はさらさらなかった。なんとなく漠然とコンピュータに関係する仕事がしたいと思っていただけだった。
先生からほめられるというのは重要なことで、それがきっかけで大学のとき英語を熱心に読むようになった。酒井先生には感謝なのである。酒井先生から教わったことは、その単語の意味が日本語ではっきり納得できるまで辞書の記述を読み込むこと。適当な訳語で表面的に納得するだけで終わらせないこと、だろうか。
高校のとき、もうちっと英語をやっていれば、理系には進まなかっただろうな。
大学のときは、専門と関係ない本(ニーチェとかマルクスとかフランス現代思想とかラテンアメリカ文学とか)ばかりをたくさん読んだ。理系の科目では電磁気学が好きになったが、これもいい先生(武田先生)がいたから、というのが大きい。
まあ、正直なところ、高校のとき行きたい大学のイメージってなかったんだよなあ。浪人するのもやだから、入れるところに入っておくか、という発想だったから、とりあえず親元から離れて仕送りをしてもらう口実がほしかっただけなのだ。専攻した学科は面白いと思わなかったので、教養の人文社会系の教授の何人かと親しくしてもらった。なので、自分なりには学費のもとはとったかなと思っている(国立だったので税金泥棒か)。
大学卒業して、就職して3年目にしてやっと中古のパソコンを買った。MS-DOSでCプログラミングをかじったのが、結局その後の人生を決定したようだ。それと並行して、アルバイトで雑誌記事の英文翻訳をしたりもしていて、そのときはじめて自分の書いた文章でもお金になるんだなと思った。プログラムを書いてお金をもらえるようになったのはその後で、いまにして思えば、お金をもらうこと、つまり商品として認知してもらったことが、それなりに大きな成功体験だったようだ。