説得と誘導について

公文俊平氏の以下のつぶやきが目に留まりました。

セイラーとサンスティーンの『実践行動経済学』を感心して読了。これなら21世紀の「政策設計学」というか「控えた温情主義」のパラダイムになりそうだ。リバタリアンパターナリズムをこう訳してみたけれど、もっと適訳はないものか。

『実践行動経済学』の中心テーマになっている「ナッジnudge」は、私が社会システム論で、他者制御方式の三つのペア(脅迫・強制/取引・搾取/説得・誘導)のうちのまさに「誘導」にあたっている。

ここで言われている他者制御方式の三つのペア

1.脅迫と強制 2.取引と搾取 3.説得と誘導

については、以下のページにある『ネティズンの時代』のレジュメが簡潔にまとめてあり参考になります。
http://www5.plala.or.jp/shibasakia/linkp0708.htm

この三つのペアの1.と2.は、柄谷行人が提示している4つの交換様式におけるそれぞれBとCに対応させることができると思ったわけです。(以下に参考のため4つの交換様式(とその歴史的派生形態)の表をまとめておきます。)

基礎的な交換様式
A 贈与と互酬制
B 収奪と再分配
C 貨幣による商品交換
D X

歴史的派生形態
A 農業共同体
B 専制・封建的国家
C 都市
D 普遍宗教

歴史的派生形態
A ネーション
B 国家
C 資本(市場経済
D アソシエーション

ここで重要なのは、3.説得と誘導をどう解釈するか、なんですね。
それでふと、柄谷の交換様式との比較を思いついたわけなんですが、すっきり対応しているわけではありません。
でも、3.説得と誘導という「方式」は、柄谷のいうAとDに重なる部分があるように思います。と同時に、そう考えたときに、AとDの違いのわかりにくさがあるように思います。

このあたりのもやもやを、ぼちぼち考えています。